油山市民の森からのお知らせ
2021/03/26
きのこ豆知識
オオセミタケ(大蝉茸)
■時期
3月から5月頃に見られます。
■生える環境
広葉樹林や針葉樹林の地上で見られます。比較的、多湿で一年を通して肌感がひんやりするところに発生していることが多いです。
■特徴
・子実体はタンポ型で円形または楕円形の頭部と円柱形の柄からなります。

肉質の柄を形成し、根元は細くねじれてややかたいです。全体的に黄色味が強いですが、所々に茶色くシミのようになっている色味もあります。

地上部は高さが10センチから12センチにも達し、大きさは3ミリから8ミリ。
頭部は、こげ茶や褐色、黄土色など環境によって色味は誤差があります。湿気があるときは光沢もあり、小さな点々が敷き詰められているような構造になっています。



宿主はセミ科(エゾハルゼミ、コエゾゼミ、アブラゼミ、ヒグラシなど)の幼虫の頭部から子実体を発生させます。

今回見つかったオオセミタケは地中深くに住んでいたアブラゼミの幼虫から発生したようです。

ただし、全てのオオセミタケがこんなに長いわけではありません。環境によっては地面すれすれから発生しているものもいれば、2個体のセミの幼虫から養分をとって成長する食いしん坊なオオセミタケもいます。
【宿主であるセミの断面】
冬虫夏草の仲間は、宿主にとりつくと栄養分を吸収し幼虫の体にまんべんなく菌糸を張り巡らしています。

■奥が深い「寄生菌類」
冬虫夏草を含む菌類には、宿主を栄養源として成長し、やがて胞子をだすために子実体(きのこ)を作ります。有性生殖をおこなう世代「完全型(テレオモルフ)」と無性生殖を行う「不完全型(アナモルフ)」があり、オオセミタケは「完全型」のきのこになります。
→「完全体(テレオモルフ)」や「不完全体(アナモルフ)」についてはツクツクボウシタケの記事に詳しく書いてありますので、ご参考までにご覧ください!(下の写真をクリックするとみることができます)

■分布
日本、韓国、アフリカ(コンゴ)で発生が確認されています。
■参考
「山溪カラー名鑑 増補改訂新版 日本のきのこ」(山と渓谷社 今関六也・大谷吉雄・本郷次雄 編・解説)
「冬虫夏草生態図鑑」(日本冬虫夏草 著)
「冬虫夏草図鑑」(清水大典 著)
製作協力/DogaLABO