油山市民の森からのお知らせ

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2022/05/25 お花情報
テイカカズラ

新緑が眩しいこれからの季節、ほのかな良い香りがふわっと漂ってくることがあります。見上げたところに白い花を咲かせる“つる”を見つけることができたら、それは「テイカカズラ」です。今日は「テイカカズラ」についてお話ししたいと思います。

テイカカズラ 定家葛


■キョウチクトウ科テイカカズラ属
■花期5月中旬から6月。いわゆる「初夏」のお花です。
 ※油山市民の森での今年の開花確認は5月20日
■本州から九州及び朝鮮半島に分布する常緑つる性木本。茎から付着根を出し、樹幹や岩壁をよじ登っていく。


ちょうど今頃から森のいたるところで白色から淡黄色のお花を咲かせ始めるテイカカズラ。ふんわりと甘い香りがします。
花びらはねじれてまるで風車みたいです。



ねじれるのは花びらだけではありません。
花後にできた実はさや状で長さ15センチから18センチ。



その中に綿毛のついた種子が格納されています。



その綿毛が飛んで行った後のさやもまたねじねじになります。
手のひら越えの巨大ねじねじ



この綿毛が飛ぶのは冬。
地表が落ち葉だらけになった森の中に羽毛のようなこの綿毛がぽとん、ぽとんと落ちていて、あぁこんなにたくさんテイカカズラがいたんだと感じさせてくれます。
森を歩いてる子どもたちが「でっかいたんぽぽ見つけた!」と得意げに見せてくれたこともありました。



ちなみに「テイカカズラ」という和名はかの有名な鎌倉時代初期の歌人「藤原定家」にちなんだもので、こんなお話が残されています。
定家卿がその昔建てたといわれる時雨亭に雨宿りをしようと駆け込んだ とある僧。そこに現れた里の女に案内されたのは、つるでがんじがらめになったひとつのお墓。
実は里の女はこのお墓に眠る式子内親王の霊で、生前深い契りを交わした定家卿が彼女に執心のあまり葛となって自分のお墓にまつわり離れないのでどうか弔ってほしい、と僧に頼みます。
やがて心のこもった僧の読経のおかげで定家葛ははらはらと解けていき、親王の霊は大いに喜び夜明けとともに消えていった――― 史実ではありませんが、そんな伝説が残されています。


つるが巻き付く姿を 恋の妄執にとりつかれた人の心に見立てられ、秘める恋の噂もあった歌人の名前をあたえられたテイカカズラ。きっと昔から人々の暮らしに身近な植物だったのでしょう。
そんなことを考えながら、このお花の甘い香りに引き寄せられるように今日もテイカカズラに会いに行くスタッフなのでした。





解説:土屋
参考:山と渓谷社「樹に咲く花」
   築地書館 長谷川哲雄「森のさんぽ図鑑」

   八房書房「植物和名の語源」
   北隆館「原色牧野植物大図鑑」
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