油山市民の森からのお知らせ

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2020/06/19 きのこ豆知識
きのこの役割(番外編)


今回の「きのこちゃんのきのこ図鑑」は番外編…第一回目から九回目まで紹介してきたきのこたちに再登場していただきました。そこで、今回の「きのこ豆知識」では自然界に住んでいるきのこたちの役割について書いていきたいと思います。

まずは、こちらをご覧ください。一見するときのこがたくさん描かれている絵です。しかし、これはある法則で分けられています。
さて、その法則とは一体何でしょうか…?

正解は…
野生に住んでいるきのこたちのそれぞれの役割別に描かれている。ということです。

■自然界での役割
きのこを含む菌類は、動植物の死がいを土に戻してくれる「分解者」としての働きをしてくれる種類もいれば、生きた植物と「共生関係」にある菌類もいます。もし、「分解者」がこの世界にいなかったら、本来土にかえるはずだった動植物の遺体は形を残したまま森の中に置き去りにされ、どんどん増えていっていたのかもしれません。もし、「共生関係」をしていなかったら、私たちが日頃見ている植物たちは生きることが出来ず、「緑」を見ることが出来なかったのかもしれません。菌類は、自然界の中ではとても重要な役割を担っている生きものなのです。
■腐生菌(ふせいきん)
腐生菌のグループに入るきのこたちは落ち葉や倒木など、様々なものを分解しています。私達が普段目にするシイタケやエノキタケ、ブナシメジなどは死んだ植物を栄養源として育つため比較的栽培がしやすく、食料品で販売されているきのこの多くはお手頃な値段で購入することができます。
腐生菌と一言に言ってもその分解種類はとても多様です。このページでは木材腐朽菌(白色腐朽・褐色腐朽、孔腐れ菌)、落葉分解菌、その他の菌類を紹介します。
白色腐朽菌(はくしょくふきゅうきん)
白色腐朽菌はリグニンとともにセルロースを分解しますが、一部の選択的白色腐朽菌と呼ばれる種類は セルロースの分解率が低く、リグニンを高選択的に分解します。白色腐朽では、リグニンが分解されるため材は白色化し、繊維状に崩れていきます。

↑アラゲカワキタケを例に見てみましょう。きのこだけをみると勢いよく生えていてとても迫力がある光景です。
↑アラゲカワキタケが生える何か月か前の切り株。切り株の外見は何の変化もありませんが、木を崩してみると真っ白になっています。
褐色腐朽菌(かっしょくふきゅうきん)
リグニンを分解する能力を持たず、セルロース、ヘミセルロース多糖を分解、資化します。また、材木は褐色になりブロック状に崩れていきます。
↑マツオウジは褐色腐朽菌で、アカマツやクロマツの倒木や切り株に巨大な子実体を作ります。
↑褐色腐朽菌の分解によって、ブロック状に崩れた材木。
孔腐れ菌(あなぐされきん)
あまり耳にしない言葉ですが、木材腐朽初期に、ヘミセルロースおよびリグニンを優先的に分解しセルロースを残しています。

カタウロコタケは、小さな子実体が敷石を並べたように材面上にびっしりと生えています。
主に広葉樹に生えるきのこですが、カタウロコタケが付いた材木にはこのように小豆大の空洞部がたくさんできます。
落葉分解菌(おちばぶんかいきん)
名前の通り、落ち葉を分解するきのこです。
↑コッコミケスの仲間は、地上に落ちた葉っぱに小さなきのこをつくります。

↑ヒノキの葉や枝を分解するヒノキオチバタケ。
↑一見普通の葉っぱですが…
↑葉っぱを分解しているきのこの菌糸が光ってるものまで、いろいろな落葉分解菌がいます。
その他の分解菌
菌類のなかには、動物の排泄物や住家に住むものもいます。そんな菌類を一部ご紹介します。
↑オオシロアリタケ(広義)は古くなって使われなくなったシロアリの仲間の巣に発生します。
この、シロアリの仲間の巣の中には、「菌園」という部屋があります。この部屋で菌糸を育て、菌糸によって分解が進んだ部分を自分たちの食糧としています。
■菌根菌(きんこんきん)
菌根菌のグループに入るきのこたちは、生きた植物と栄養のやり取りをする相利共生(共生)の関係にあります。例えば、秋の味覚でもある「マツタケ」。マツタケを探す人は命をかけてでも探しに行こうとします。それは、マツタケが高級食材だからです。ではなぜこんなにもきのこに対する価値の差が出てくるのでしょうか?それは、きのこの栽培が出来ない、もしくわ難しいからです。「菌根菌」と呼ばれる菌類たちは土壌中の無機養分や水分を効率よく吸収し、植物に与えることが出来ます。また、植物ホルモンを分泌して植物の成長を促進したり、乾燥や有害な微生物の攻撃から根を保護しています。一方植物は、光合成により合成した有機物を菌類に与えているのです。
↑セイタカイグチはアカマツ・コナラ林に生える菌根菌です。
↑ベニタケの仲間。マツ科、ブナ科などの木に菌根をつくります。
↑土を少し掘ってみると、植物の根にコブのような菌根がでていました。(写真のものは種類は不明です)
■寄生菌(きせいきん)
生きた動物から直接栄養を得ている菌類のことです。寄生菌によって生きた動物が死んでしまうということは、生態系においてそれらの生きものが増えすぎることを抑制する役割を持っているといわれています。
↑タイワンアリタケ。生きたチクシトゲアリの体内に侵入すると、菌糸を伸ばしていき最終的には殺してしまうきのこです。
↑ツチグリというきのこの幼菌から発生するタマノリイグチ。寄生菌のグループはなかなかお目にすることが出来ないきのこたちが多いです。
■菌類に寄生する植物たち
自然界には、菌類に寄生して一方的に栄養を取りながら生活をしている植物が存在します。それらは「菌従属栄養植物(きんじゅうぞくえいようしょくぶつ)」と言われていて、菌類から栄養をとっているため、植物体には葉緑素がなく全体が白色や赤色のものなど姿かたちが変わっているものが多いです。

↑ギンリョウソウはベニタケ科の菌根から栄養をとっているといわれています。
↑ギンリョウソウの根元です。菌根が複雑に絡み合っています。
■さいごに
今回はきのこが自然界にどのように関係しているのかを書いてみましたが、調べれば調べる程に疑問点がたくさでてきています。私たちが思っている以上に「生きものとは」複雑で未知のものが多くて、それらは人々の心をつかむ「何か」がある…現に私は、生きものの中でも「菌類」に心をつかまれました。菌類は目には見えないものも含めて自然界の中で勇敢に、そして役割をもって生きている。それを知れるだけでもワクワクするし、それを見つけられた時はとてもうれしいです。これからも、変わらず「菌類」への勉強をしていきますので、これからもよろしくおねがいします!
■参考
きのこの世界はなぞだらけ(文一総合出版 保坂健太郎、吹春俊光、大場裕一、白水貴、大作晃一、新井文彦著)
日本のきのこ(山と渓谷社 今関六也・大谷吉雄・本郷次雄 編解説)
製作協力/DogaLABO
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