油山市民の森からのお知らせ

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2021/04/02 きのこ豆知識
ツチグリ(土栗)【追記】

ツチグリについておさらいです。
■生える時期
ほぼ一年中見ることができます。(特に雨上がりの日にきれいな星形のツチグリを見ることが出来ます。
■生える環境
雑木林の地上、庭園、崖、壊れやすい斜面など遷移が起きやすい地上によく生えています。
湿度があるときは、きれいな星形の形が見られます。

■特徴
幼菌のときには丸い形で地中にうまっていて、成熟すると地面の中から顔を出して出てきます。

胞子の入った袋の外側の部分を外皮(がいひ)と呼び、成熟すると外皮は7片から10片に裂け、星形に開きます。

まるでみかんの皮をむいたような形です。星形の座布団の上に胞子の入った袋が乗っているような姿となります。この袋のような部分は内皮(ないひ)と呼びます。

胞子は袋の中心に空いている穴(頂孔(ちょうこう))から放出されます。

外皮はおもに3層の構造となっており、内側の層が水分を吸収して膨張することで、乾湿に合わせて開閉します。
固い外皮の内側には、白モザイク柄ような網目模様があります。この部分を薄膜層(はくまくそう)といって比較的はがれやすい部分になります。

乾燥すると、外皮は丸まり、胞子の袋を包んで全体が丸まったようになりますが、その際に袋がおされると胞子が放出されます。

成長したツチグリは、雨が降ると外皮を星形にひろげて、立ち上がるように袋状の内皮を天に向けています。晴れて乾燥してくると、1日かけて外皮をとじます。そのため「星形の湿度計」「きのこの晴雨計」などと呼ばれることがあります。晴れて乾燥した時にまるまって風にのってころころと転がる特徴から「晴天の旅行者」という名前ももっています。
■方言
秋田県:かぎひび、かっちぐり、くりだま
愛知県:かみなりのへそ、しょうろ、むぎしょうろ
山梨県:きつねのだんご、きつねのちゃぶくろ、きつねのぼたん
長野県:じょうろ
広島県:つちたけ
大阪府:ぶくりょう
千葉県・新潟県:ぶんぶくちゃがま
青森県:ぽぽたけ
福島県:まいまいだんご  
宮崎県:キンネンタバコ(キツネノタバコ)、イシワタナバ、ケーコロ、ヘナバ
鹿児島県:コロベ
などです。ちなみに、福岡県ではそのまま「ツチグリ」と呼んでいます。

■外国での呼び方
欧米では地の星(earth star)とも呼ばれているそうです。

■人とのかかわりが深いツチグリ
普段、公園や山の中に出かけなければ「ツチグリ」を観察することはできず、また、見つけたとしてもそのかわいらしい姿は人々を和ませています。そんなツチグリ。実は古くより「ヒト」と関わりが深いきのこなのです。
●食用としての「ツチグリ」
ツチグリと聞くと、「星形のような開いた姿」を連想する人も多いと思います。しかし、それは成熟したツチグリの姿。小さな小さな赤ちゃんの時は丸いボールのような形をいしています。そして赤ちゃんツチグリを食用として利用している地域があるのはご存じだったでしょうか?

日本で「ツチグリ幼菌」を食用としている地域は、福島県、宮崎県、鹿児島県、大分県の一部といわれており、ツチグリ幼菌の特に中が白くて熟していないものをみそ汁にいれて食べていたそうです。一方、中身が熟して黒くなったものは、口に含んだだけでも苦しくなるほどの強烈な苦みがあり、このことから、「ツチグリから出る煙は毒だから目に入れると良くない」と言われていたそうです。
ちなみに、タイではツチグリの缶詰が販売されています。
●薬用としての「ツチグリ」
宮崎県の一部地域では、傷薬として使用していたそうです。また、中国のきのこ図鑑には、薬効として「炎症止め」「止血作用」と書いてあり、凍傷で水ぶくれが破れた時にも使われていました。
■「ツチグリ」とのかかわりが深い「菌類」
どこにでもある普通のツチグリ…。言い方は悪いですが、けっこうスルーしがちなきのこでもあります。しかし、そんなツチグリも「ほかの菌類」に利用されることもあります。
特に雨の多く降り続く梅雨の頃、枯れてしまったツチグリに目を向けてみると…小さな小さな菌類に出会うことができます。
●Gelatinipulvinella astraeicola(ゲラティニプルウィネラ・アストラエイコラ)
このきのこの和名はまだつけられてなく、古いツチグリに発生します。ツチグリノニキビ(仮称)として呼ばれることもあります。
ツチグリの外皮表面に発生し、大きさは0.3ミリほど。気にして探してみてもみなかなか気が付くことができませんでした。ちなみに、普通に見た時の古いツチグリはこちら↓

この古いツチグリを拡大すると…小さなぷつぷつがありました。

●タマノリイグチ(玉乗猪口)
名前の通り、「玉(ツチグリ幼菌)」に乗っている「イグチ」という読みやすい名前をしています。このきのこは夏から秋にかけて発生するきのこですが、ツチグリの量に比べると、ほとんど見る機会はなく、とても珍しいきのこになります。

■さいごに
きのこ好きにとって、「ツチグリ」は形がかわいいし、よく顔を見せてくれるので人気の高いきのこのひとつですが、どのようにして生活をしているのか、進化の中でなぜこの形になっていったのか、生態はまだまだ分からないことだらけ…。中には「ツチグリ」に寄生するきのこまで存在します。人からも、きのこからも、そして昆虫からも愛されるツチグリ。そんな、人気者を探してみてはいかがでしょうか?

参考
「きのこの語源・方言事典」(奥沢康正、奥沢正紀著 山と渓谷社)
「北陸きのこ図鑑」(池内良幸著 橋本確文堂)
「日本のきのこ」(今関六也、大谷吉雄、本郷次雄編著 山と渓谷社)
「宮崎のきのこ」(みやざき文庫116 黒木秀一着)
「中国の薬用菌類」(波著、難波雄・布目慎勇共訳
製作協力/DogaLABO
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