油山市民の森からのお知らせ

油山市民の森からのお知らせ

2022/05/11 野鳥情報
ヤブサメ

福岡市にある油山市民の森周辺で見られる野鳥をちょっと深掘りしてご紹介します


本日の鳥さんは「ヤブサメ」です。
実はここだけの話、野鳥と言えばウグイス!くらいだった頃、「ヤブサメという鳥がいる」と聞いた時、どうしても↓↓↓


つまり「流鏑馬」の方ですね。
私にはもうそのイメージしかなかったのでヤブサメ=大型の猛禽類かと思っていました。
それがわずか10センチほどの小さな渡り鳥だったとは!
そしてこのヤブサメ、声はすれどなかなか姿を見せてくれない鳥さんだとは!
今日のブログは一目でもいいから会いたい、そんな想いを込めてご紹介します。


ヤブサメ 藪雨 (スズメ目ウグイス科)

■特徴
全長11cm。雌雄同色で上面は地味なオリーブ褐色に包まれ、下面は淡い色をしています。やや黄色みを帯びた白の眉斑(目の上にある(まゆ)状に見える線)と黒色の過眼線(くちばしから目を横切って走る線)があります。ぱっと見、うぐいすに似てますがヤブサメは尾羽がとても短いです。
油山では夏鳥として東南アジア方面から繁殖のために渡ってきます。

★油山での今年の初認は3月29日でした。

■鳴き声
オスのさえずりはとても鳥の声と思えないのが特徴。「シシシシシシシ」と虫のような高い周波数で鳴きます。あまりに特徴的なので一度覚えたら迷うことなくヤブサメと判るようになります。
その他オスメス共に採餌の際などは「チョッチョ」とミソサザイに似た地鳴きをするそうです。


■園内での出現場所
3月下旬から上旬(渡ってきた当初)、絹糸の滝周辺での目撃情報が主でしたが、個体数が増えたのか4月第3週前後からは水の森、牛舎や山笠の滝周辺、こだまの森入口近辺、第2駐車場などあらゆるところで確認されています。
しかしながら、5月に入りぱったりとヤブサメの声を聞いたという情報が途絶えています。推測ですが、育雛期に入ったのかもしれません。
今は必要以上に探さず見守る時期ですね。
ヤブサメは1シーズンに複数回繁殖することが多いそうで、ヒナが巣立った後、またあの声を聞けることを願いながら森を歩いています。



このヤブサメ、生態について新しく発見されたことやまだ分かっていない事もたくさんあります。

例えば繁殖地に渡って来たばかりのオスは夜間に数時間、長い時には8時間近く全く休まずにさえずり続けることが2013年に発見、発表されています。この行動は繁殖地に渡来後2週間ほどのごく短期間にのみ行われており、オスよりやや遅れて渡ってくるメスを誘引している可能性があるとのこと。
ただでさえ長旅で疲労はピークだろうに、この小さな生きもののどこにそんなエネルギーがあるのだろうか。畏敬の念を感じざるを得ません。

他にも、繁殖の際にペアになったつがいとは別のオス(つがい外オス)が巣に現れ、ヒナにエサをあげる行為が確認されています。なお、このつがい外オスは決して独身とは限らず近くで巣をつくっているペアの片割れであるケースが多々あるんです。むむ。ややこしいですね。

人間界で例えると、、、隣り合った家に住む田中家と佐藤家。新生児を子育て中の田中夫妻のところに、なぜか臨月のお嫁さん(厳密にいうと抱卵中)がいる佐藤家夫がお邪魔して、田中家の赤ちゃんのお世話をしているという状況です。ちなみにヤブサメは巣作り、抱卵はメスのワンオペで行われ、ヒナが孵った途端、オスが育児を担当します。なのでお嫁さんが抱卵中のオスは言ってしまえばヒマ。そのタイミングで近所の巣へお邪魔してるようですが、なぜそのような行為をするのかははっきりとしたことはまだ分かっていないそうです。

話が尽きず、今回はことさら長くなってしまいました。
彼らの繁殖場所は下草いっぱい、笹ヤブなどのヤブの中。
現代人からするとあってもなくても、いやむしろ要らないんじゃないかと思ってしまうヤブですが、彼らにとっては命をはぐくむ大事な場所です。
刈りはらってしまえば、もう彼らがやって来ることはなくなるでしょう。
多様な自然が残るこの油山。ヤブの見方が変わったのも彼らのおかげです。

これだけ想いを込めて書いたので、どうか!いつか!今すぐでなくてもいいから!お姿見せてくださいませー!

(おわり)             



▼その他の野鳥情報▼
[ 油山の野鳥たち ]


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写真:野鳥調査ボランティア・ヤマガラの会:酒井さん
   ※流鏑馬はフリー素材サイト「写真AC」
解説:土屋
引用・参考文献:
 日本野鳥の会福岡「油山の鳥たち」
 ナツメ社「ぱっと見わけ観察を楽しむ野鳥図鑑」
 Bird Research News Vol.7(2010年8月16日号)
 川路則友氏 1997年(北海道野鳥愛護会野鳥だより) 
 上沖正欣氏 2013年 
鳥類における夜間さえずりの適応的意義の解明
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