油山市民の森からのお知らせ

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2021/09/03 きのこ豆知識
ツクツクボウシタケ(つくつく法師茸)【追記】


↑昨年のYouTube
↑ツクツクボウシタケリメイク版

■生える時期
↑昨年のYouTubeです

↑ツクツクボウシタケ リメイク版
■生える時期
だいたい6月から11月頃まで観察することができます。
■生える環境
寄生菌で、主に地中にいるツクツクボウシの幼虫から発生します。まれにアブラゼミなどのセミからもでてきます。
■特徴
「ツクツクボウシタケ」(アナモルフまたは無性世代とも呼ばれています)
カビが生えているように見える「ツクツクボウシタケ」。宿主であるセミの幼虫は土の中で過ごしているため、地中からきのこがぐんぐんと伸びてきます。

↑きのこの形はまっすぐ直線的に伸びるものもいますが、先端で分岐するものもいます。地上に顔を出した子実体は、頂点に白い粉(分生子)をたくさんつけます。
↑白い粉(分生子)を拡大してみました。この粉に触れると指に付着しますし、水もよくはじきます。

↑セミの幼虫の体は白い菌糸で覆われ、きのこ(分生子柄束)は頭部から出てくることが多いです。
「ツクツクボウシセミタケ」(テレオモルフや有性世代とも言われています)
きのこの形は棍棒型で宿主の頭部から1本から10本発生します。宿主の体は、白い菌糸に覆われています。まれに、ツクツクボウシタケ(アナモルフ)も同じ個体からでることがあります。

↑ツクツクボウシセミタケ(テレオモルフ)はあまり見ることができない珍しいきのこになります。ツクツクボウシタケ(アナモルフ)はあんなに多いのに、どうしてツクツクボウシセミタケはあまり出現しないのでしょうか…?まだまだ分からないことだらけの虫草の世界です。


↑今回の個体では、ツクツクボウシセミタケ(テレオモルフ)とツクツクボウシタケ(アナモルフ)が両方見られました。
↑こちらは、テレオモルフが太い個体です。比較的環境が整っている場所では毎年見られるようです。
■虫草の各構造
冬虫夏草の各部の名称を簡単に書いてみました。

■アナモルフ(無性世代)とテレオモルフ(有性世代)について
一言に「アナモルフ」「テレオモルフ」と言っても、何のことだかわかりにくいと思います…
私もこの生活型を覚えるのにはなかなか時間がかかりましたし、今でも「ん?どういうことだ?」と思うこともたくさんあります。
このブログでは、私自身が解釈して書いたり、図鑑を見ながら書いていますので参考程度に見て頂けると嬉しいです。

一般的に冬虫夏草の名称で親しまれている多くの種類は、有性世代に属していてこの代表がササナギタケやセミタケなどのCordyceps属で、他にも数種類存在します。一方、無性世代に属しているものの代表的なものにハナサナギタケやツクツクボウシタケなどがあります。



※最近では、アナモルフとテレオモルフについてそれぞれ学名があるのは問題とされ、一つの種に一つの学名とすることが検討されています。
■きのこちゃん劇場
漫画風にテレオモルフとアナモルフについて描いてみました。(この漫画では、形にはこだわらず説明を分かりやすくするために描いています)

■ちょっとした実験
ツクツクボウシタケやツクツクボウシセミタケを覆っている白い菌糸…さわるともふもふふでひんやりしていて、不思議な感触があります。そんなきのこをブラックライト(紫外線)で見てみると……

な、な、なんと菌糸が光っているんですね…ただ、光ると言ってもすべてが光るわけではありません。
↑こちらは子実体の根元を比較してみました。まずは、ブラックライトを当てる前。
↑ブラックライトを当ててみると、白い菌糸の部分が光っていることが分かりました。
冬虫夏草の仲間には他にも、紫外線で光るものがあるので、見つけた際は試してみてくださいね!
■漢方薬での名前
薬用「蝉花(ぜんか)」の名前で売られています。まれにツクツクボウシセミタケが混入していることもあるようです。
■フィールドワークするときに注意したい生きものたち
先日ツクツクボウシタケを観察している最中に「ニホンマムシ」に出くわすという出来事がありました。今回は「毒蛇」や「ダニ類」など、フィールドワークをする際には気を付けたいいきものについて簡単に紹介をしていきます。(このブログでは、本やネットからの情報を参考に書いています)
「ダニ媒介感染症」

↑わりと身近な草原や森の中にいるマダニの仲間。きのこ探しをするときに高頻度でさされるのできのこちゃんの天敵です。(マダニ類は、1年中姿を見ることができ、幼ダニ期、若ダニ期、成ダニ期に哺乳類に吸着し血液を吸っています。)

↑森の中を歩いていたツツガムシの仲間。(ツツガムシの仲間は、1世代に1度だけ卵から孵化後の幼虫期に哺乳類に吸着し組織液を吸います。)
「ダニ媒介感染症」とは、病原体を保有するダニに噛まれることによって起こる感染症のことです。日本では、重症熱性血小板減少症候群(SFTS)、日本紅斑熱、つつが虫病、ライム病などが知られており、リケッチアやウイルスといった病原体を保有しているダニなどに刺されることで発症する感染症です。
「蚊媒介感染症」

↑きのこ探しお馴染みのカの仲間。写真撮影の時や立ち止まったりすると血をすってくるので、きのこちゃんの天敵です。
蚊媒介感染症とは、病原体を保有する蚊に刺されることによっておこる感染症のことです。日本では、日本脳炎、ウエストナイル熱、デング熱、チクングニア熱などのウイルス疾患。マラリアなどの原虫疾患が知られています。これらの感染症は思に熱帯、亜熱帯地域で流行しています。
※野生に生息するすべてのマダニやツツガムシ、蚊などが病原体を持っているわけではありません。
「そのほかの注意したい生きもの」

↑きのこ探し最中、比較的遭遇率が高い毒蛇。
ニホンマムシは、毒性も強く(出血毒)、最悪の場合は死に至ってしまう毒蛇のひとつです。ただし、性質が温和な毒蛇で自分から進んで攻撃してくることはありません。攻撃する時は、不用意に人間が近づきすぎたりするために起こります。マムシの存在に早くに気が付いたり、足元の見えない草むらでは草をたたきながらゆっくりと進むのも効果的だと思います。

↑油山の側溝に落ちてしまったときの写真です。
ヤマカガシは日本に生息するヘビのうち毒蛇御三家(ハブ・マムシ)の中に数えられる代表的なヘビ一種です。奥歯と首のあたりに毒を蓄えています。これまでは、毒があることは知られていませんでしたが、1984年に愛知県の当時中学生がヤマカガシに噛まれ、救急搬送されるも10日後に亡くなるという事件がありました。これが発端となり毒蛇として認識されるようになりました。

↑樹液に集まったオオスズメバチ
スズメバチの針には毒があり、人が刺されるとその毒素が体内に入ると幹部が赤く腫れあがったり、強い痛みに襲われます。また、複数刺された場合、最悪の場合は重篤なアレルギー症状(アナフィラキシーショック)を引き起こし、死に至る場合もあります。きのこ探しの場合、地面を見たり枯れ木に近づいたりする機会も多いため、観察する前にはまずは周りの安全を確保してから観察をするようにしましょう。

↑捕食中のムカデの一種
ムカデに噛まれると、噛まれた箇所に激痛が走り赤く腫れあがり、痛みがひいたとしてもしびれや痒み、発熱といった症状が出る場合もあります。また、スズメバチと同じくアナフィラキシーショックを起こす可能性もあるため注意が必要です。
などなど…「注意したい生きもの」はまだまだほかにもたくさんありますが、今回は事故頻度が高そうなものを取り上げてみました。きのこ探しや生きもの観察はとても楽しく学ぶことが多いですが、身の回りにもさまざまな危険があることもお忘れなく…。
■参考
冬虫夏草生態図鑑(誠文堂新光社 日本冬虫夏草の会編著)
日本のきのこ(山と渓谷社 今関六也・大谷吉雄・本郷次雄 編解説)
冬虫夏草図鑑(家の光協会 清水大典著)
和歌山市感染症情報センター(http://www.kansen-wakayama.jp/
厚生労働省 ダニ媒介感染症(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000164495.html
愛知県衛生研究所 注意すべき蚊による感染症(https://www.pref.aichi.jp/eiseiken/67f/mosquito.html
GIZMODO(https://www.gizmodo.jp/2017/04/hawaii-snail-carrier-parasite.html
福岡県の爬虫類(カメ、トカゲ、ヘビ)ふるさとの自然と歴史 動物あ・ら・かるとシリーズ第262号から282号より((社)歴史と自然をまもる会発行 橋元浩一 著)
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