油山市民の森からのお知らせ
2021/03/12
きのこ豆知識
トガリアミガサタケ(尖網笠茸)【追記】
■生える時期
3月から4月(福岡県では2月下旬から5月上旬ごろまで見ることができます。)
『春を告げるきのこ』と言われることもあります。桜のつぼみが大きくなるころには、トガリアミガサタケも地上から顔をだしてきます。
■生える環境
生える環境はさまざまですが、主にイチョウの木の下に生えていたり…

スギ林に生えていたり…

■特徴
子実体は卵型の頭部と太くて明瞭な柄とで構成されています。全体の高さは5-12センチ、またはそれよりも大型になるものもいます。

頭部は茶色が濃ゆく、縦に走る脈がはっきりとしています。

脈にそって微毛が生えています。

柄はゆがんだ円筒状で、白色ないし淡黄褐色で表面はざらつきます。

頭部、柄を通じて中空。

頭部の窪みの内面に多数の子のうを作り、子のうの内部に胞子をつくります。子のうは細長い円筒状で無色・薄壁。先端に薄い円盤状の蓋を有し、成熟すれば蓋が外れて胞子を飛ばします。

■アミガサタケの仲間たち(クイズ)
アミガサタケの仲間たちは、環境によりその姿かたちは様々です。
今回は、これまで見てきたアミガサタケの仲間たちを並べてみました。この中のほとんどは「トガリアミガサタケ」です。しかし、あれ…?なんだか違うものも混じっているような…。しかも、別の種類のきのこも入っている?
皆さんは見つけられたでしょうか?



写真がたくさん並んでいて、なかなかみにくかったかと思いますが…トガリアミガサタケ以外のきのこを見つけることはできたでしょうか?
↓↓↓↓↓正解はこちら↓↓↓↓↓↓

■上段(シャグマアミガサタケ:アミガサタケと名前が付いていますがこちらは、フクロシトネタケ科の毒きのこ。ただし、海外では食用とされている場所もありますが、中毒例も出ているきのこなので、観察するだけにしましょう。)
■中段(アミガサタケの仲間:こちらはアミガサタケ科のきのこですが、トガリアミガサタケに比べると発生時期のずれや、特徴が微妙に違ったいることもあり、仲間としています。)
■下段(ヒロメノトガリアミガサタケ:こちらもアミガサタケ科のきのこ。お目にかかれる回数は少ないですが、網目の間隔が長いのが大きな特徴となっています。)
■海外での呼び方
英語でモレル。フランス語でモリーユ。イタリアではモルケッタとよばれ食用きのことして珍重されています。
■食毒について
食べれるきのこではありますが、子実体には微量のヒドラジンを含むため生食したり半生であるものは避けるようにしてください。また調理されたものであってもアルコールと共に食べると酔いを深め、悪心や嘔吐の原因になるともいわれています。大量に摂取した場合にめまいやふらつきなどを起こした例が報告されているそうです。
※触れたり、食べたりする際は、専門家の指示に従うようにお願いします。
■さいごに
トガリアミガサタケは、福岡県内いろいろなところを探してもなかなか見つけることができません…。きのこちゃんが住んでいる油山では2月下旬からその姿を見ることができます。もしかしたら、アミガサタケを観察している怪しい影が見えるかもしれません(笑)
あるところにはあるけど、ないところには無い。本当に不思議なきのこです。
桜の花が咲くころに、そんなきのこたちを探してみてはいかがでしょうか?
※油山市民の森では採取は禁止されています。
参考
「北陸きのこ図鑑」(池内良幸著 橋本確文堂)
「日本のきのこ」(今関六也、大谷吉雄、本郷次雄編著 山と渓谷社)
「くらべてわかるきのこ」(吹春俊光監修 山と渓谷社)
製作協力/DogaLABO