油山市民の森からのお知らせ

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2022/11/16 お花情報
キッコウハグマ

キッコウハグマ 亀甲白熊


■キク科モミジハグマ属の多年草
■花期10月から11月
 ※油山市民の森での今年の開花確認は10月25日でした!

■山地やや乾いた日陰に生える
 ※油山市民の森では周回路沿い10番や水の森等で確認されています


この時期、アケボノソウと並んで人気があるのがこのお花。
「キッコウハグマ」です。

普通に周回路を歩いていたら白い小さな花、くらいにしか思いません。
なんなら存在すら気づかないかもしれません。
ですがいったん立ち止まって覗き込んでみると、もうその可愛らしさに見入ってしまいしょっちゅう立ち止まることになる、そんなお花です。

■じっくり見ると不思議な形が見えてくる

それでは実際にのぞいてみましょう
久々の小道具登場です。

「どこでもルーペ―」←ドラえもん風にご唱和ください。

(
ちなみにルーペなしでも十分も見ることができます)

なんと!花びらの先がくるりんしてます。

このお花、ひとつかと思いきや3つの小さいお花が寄せ集まっているんです。


これでひとつの花↓↓↓


花びら全体がねじれているお花は色々ありますが、キッコウハグマは花びらの先だけがくるっとしてます。ひとつくらい違う向きのお花があるのではと探してみましたが、どうやらみんな同じ方向のようです。(もし違う向きにくるりんしているお花を見つけたら教えて下さい)

■咲かないお花がある!?


そしてこのお花。待てども待てども花を咲かせず、気づけば種になっていることがあります。


え!?お花いつ咲いたの!?と思いきや、実はキッコウハグマは開花せずつぼみの状態で自家受粉を行う「閉鎖花(へいさか)」をつけるのです。

私たちが一般的に知っているお花は、普通に開花して昆虫や風など他者の力を借りて受粉、結実するものです。「閉鎖花」に対して「開放花」と呼ばれています。

一方「閉鎖花」は最初から最後までつぼみのまま、その中で結実までするお花です。
そんな花あるの?と驚かれた方もいるかもしれませんが、確かに閉鎖花をつける種は少ないものの、スミレなど私たちに身近な野の花も閉鎖花をつけることで知られています。

ということで
目の前にあるつぼみが開花前のものか、閉鎖花なのか、正直この段階では分かりません。


ぱっと見、全部つぼみです。

そんな中、興味深い論文を見つけました。
帝京科学大学 赤坂未里氏、岩瀬剛二氏による開放花及び閉鎖花の事態調査がまとめられたものです。

それによるとキッコウハグマは

1,開放花のみつける茎
2,開放花と閉鎖花、両方をつける茎
3,閉鎖花のみの茎

の3種類存在し、そのうち開放花をつける茎は5センチから15センチほどの長さで、それより長い茎には主に閉鎖花が見られたとのこと。
つぼみの形状では判断できませんが、茎の長さはひとつのヒントになりそうです。

そして調査の結果、開放花は閉鎖花の1割程度しか付かず、かつ結実の割合も閉鎖花は8割と高確率なのに対し、開放花は2割程度に留まるとのこと。
つまり、「キッコウハグマはその繁殖の大部分を閉鎖花に依存していると考えられる」そうです。

そしたらもう全部閉鎖花にしちゃえば!と言いそうになりますが、やはり近親交配のみでは遺伝子的に弱くなるため、他の花との交配の道は閉ざすわけにはいかないのでしょう。




森さんぽにおいでの際、よかったらくるりんした白い小さなお花の周りのつぼみたちもご覧ください。
このつぼみは開くかなぁ。それとも閉鎖花かしら。
茎の長さから推測すると・・・・。
そんな風に色々考察しながらの花見も楽しいと思います♪




解説:土屋
引用・参照:山渓「山に咲く花」
      帝京科学大学紀要 赤川未里氏 岩瀬剛二氏
      「キッコウハグマにおける開放花及び閉鎖花形成の実態」
      南方新社 平田浩氏「図解・九州の植物」

写真:センタースタッフ撮影
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